久々の辻企画

久々に辻企画ことアリカさんの公演をみた。アリカさんとは行きつけの飲み屋の知り合いで、大学のころは何本か見に行くことができたのだが、しばらくは公演控え気味だったのか京都に戻ってきてからも見る機会はなく、ずいぶん久しぶりになった。

場所は喫茶フィガロ。喫茶店の中で鑑賞する、席数は少ないがちょっと特殊で贅沢な公演。

アリカさんがどういう演劇を作られているかは、たぶん下記のインタビューの冒頭を読むとわかりやすい

司辻有香(かさつじ・ありか)さんが手がけた戯曲は、「皮膚感覚的」と称される。舞台上では、全身を使った表現の中で、官能的で激しいことばが繰り返され、やがて長い沈黙が訪れる。明確なストーリーがあるわけではないのに、強烈な心象を切り取った描写に、みている者は感情が揺さぶられ、引きこまれる。

自分を出し惜しまず、すべてさらけ出してたどり着く、本当の自己表現 | アネモメトリ -風の手帖- | アートとともに ひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

普段穏やかに(?)カウンターで飲んでいて、初めて見に行った時はとにかくびっくりした。そんなに激しく官能的なものだとは想像もしていなかったし、何よりアリカさんが内に秘めているものの激しさみたいなものに驚いた。

そういう驚きは何度みても変わらない。いつになく楽しそうな笑顔で挨拶をしているアリカさんをみると、そのあと起こるものがその人の表現だということが想像もつかない。

今回もそれは変わらなくて、笑顔の挨拶から一転、引きずり込まれた。ことに今回はタイトルなし。アリカさんのセリフを書くという仕事、それから人生への向き合い方がストレートに、生々しく表現されていたものだった。それが一般に面白いものなのかは僕にはわからなくて、演劇を書いている友人であるところのアリカさんの内面をダイレクトに覗くことになったことが面白かった。

しかしそういったセリフとかを抜きにしても、辻企画はエンターテイメントとしてすごかった。薄暗い空間で舞台である喫茶店のカウンターから最初にでてきたものがなんなのかわからなかった。人なのか?しかし何人?あれは手?足?不気味さと異様さにさっきまで和やかに談笑していた客席が世界に引きずり込まれて緊張感に包まれる。その後に訪れる官能。あんまり芸術の感想でいうことではないが僕はそのエロスに興奮した。そして何度も何度も客席の目前をうろつき、のたうちながら繰り返されるセリフと叫び。30分が永遠のように長く思える。もう終わってくれ、抜け出してくれと思いながら、どこかでこのまま一晩中見ていたような時間が続く。

喫茶フィガロ 冬の文化祭2017参加企画 辻企画公演 | 辻企画