アドテック関西2018「愛されるデジタル広告、嫌われるデジタル広告」

水曜から金曜までの三日間、神戸、大阪、京都で開催されたアドテック関西ですが、今年は初めてスピーカーとしても参加しました。せっかくなので自分がでたセッションを振り返ってレポートを書いておきます。

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長い前段

アドテク界隈の言説のひとつの大きな流れとして、DSPによるリターゲティングとCVR推定技術の向上、またそういった刈取りのできる面の拡大があったころは素朴にCPA等の指標改善をどれだけできるか、どれだけコンバージョン獲得を最大化できるかということが語られる時代があったのだと思います。

そこからの折り返し地点が「ブランディング」という言葉*1。俗に言う「CPA追求だけでいいのか、これからのWEB広告はブランディングも意識しなければ」ですね。この代表格は動画広告でしょう。このあたりについては僕自身も以前の会社でやっていた仕事で業務上当事者性がありました。

このブランディング文脈は賛否、というか批判も多いものだと思います。とりあえずなんでもブランディングという言葉で盛り付けをすれば、代理店もトレーディングデスクも広告主も技術的な進歩もとまりつつあり停滞していくCPAやROASの追求から逃げることができる。そういう空気があったように思いますし、僕自身が関わった仕事でもそういった部分がないとは言い切れないと思っています。

ブランディングという言葉に逃げるな」という批判はアドテックでも以前から顕在的でしたが、今年のアドテック関西では「ブランディングという言葉に逃げずにちゃんと売上貢献をみましょう」という具体的なメッセージが多かったように思います。

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そういうWEB広告上でのブランディング広告の話がでたわけではないのですが、上記セッションでの加藤公一レオ*2さんの話はその空気を掴んでいたように思いました。

あまりここでそのセッションの話をしすぎても仕方ないのですが、ざっくりいうと上品にブランドを訴えるテレビCMのようなブランディング広告は、刈り取り型広告のCVRを明確に向上させるというものでした。他のセッションではなかなか売上との関連を明確に示せないことが多い中、具体的な数字と事例を伴った強いメッセージでした。

愛されるデジタル広告、嫌われるデジタル広告

非常に前段が長くなってしまいましたが、ここから僕のでたセッションについて書きます。セッションの内容をまとめているわけではなくて、セッションを通じて僕が思ったことを書いている点にご留意ください。

今回のセッションでは、刈り取り追求⇒ブランディング⇒売上貢献、という流れの中でその先に進むためのひとつのアンチテーゼを投げかけられたのではないかと思っています。

「愛される広告を作ること、嫌われないように配慮すること、どうやればそういったことができるのか」というお題設定でしたが、「そもそも愛されるということは必要なのか、つまりそれって売上に寄与するんですか」ということに踏み込めたところが今回のセッションを意義深いものにしたのかなと思っています。そしてこの問の帰結としては「愛される広告が売上に寄与することは難しいし、嫌われない配慮*3はメディアにとっても広告主にとっても売上を落とす行為である、少なくとも短期的には。」というものでした。

ただし短期的なKPIだけを見るのではなく、天野さんの勤めるダイキンさんのような買い替えタームの長いブランドにおいては、長期の時間軸でブランドが愛されること、嫌われないことに、WEB広告においても努力していかなければなりません。

そういった長期的な好感度調査はテレビCM等を主眼として行われていますが、今後はWEB広告においても愛されることを主眼においたものや、日々の嫌われない努力はここに寄与するものとして組み込まれるべきではないでしょうか。そういったことが投げかけられたのではないかと思います。

書いてみると当たり前のことにも思えるのですが、自分としても言語化できてよかったなと言う感じるところがあり、満足感があります。

もちろん「これは長期施策なんで」と逃げ道にされるべきではありません。短期的寄与と長期的寄与を明確に切り分けて広告を考えていくことが必要なのだと思います。

セッションのまとめのように書いてしまいましたが、以上はあくまで僕が着目した点です。すぐとなりで聞く青木さんのクリエイティブ論には圧倒されたのですが、ここでは触れていません。

もともと面識のない立場の違う4人がこういったセッションで相互に学びが得られて、さらにそれを聴衆にも還元できるというのは非常に良い機会でした。西谷さん、天野さん、青木さんおよび関係者の皆さんありがとうございました。

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同日の京都会場でUnder35セッションがありました。

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その中でどうやってキャリアを磨いていくかという話題で、情報のインプットとアウトプットをしようという話がありました。具体的な本の名前もいくつか出ていたのですがメモしていたのでここでリンクを張っておきます。

思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践

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デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法(MarkeZine BOOKS)

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本以外にも仕事に役立つWEB記事、仕事論的なもの、Spreadsheetsテクニック等をクリップして管理するのに、自社サービスで恐縮ですがはてなブックマークをおすすめしたい。

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タグ付けして管理しておくと、たまに振り返るときにおすすめで、検索しやすいようにコメントをつけておくのもよいです。アプリをダウンロードしておくと日々の注目されている記事がコメントとともに読めて便利です。

もうひとつの当然アウトプットすることなんですが、このようにセミナーレポート書いてみるとか、そういうのにはてなブログおすすめです。

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なんなら非公開で自分しか見れないように書いても良いと思います。何人に見られるかとかじゃなくて気楽に言語化することのほうが重要だと思うのです。まずは非公開でぜひ作ってみてください。

さらにもうひとつ、あまり知名度高くないのですが大チェッカーというみんなで編集するRSSアンテナサービスがあります。ネット広告アンテナとかもメンテされており、ニュース収集におすすめです。

daichkr.hatelabo.jp

重要なことですが、どれも無料で使えます。

以上、セッション登壇の感想とマーケター向けの自社サービスPRでした。

*1:別の流れとして重複を排除したより正確なデータ計測やLTV、CRMというのもあるがここでは触れない

*2:フルネームを書かないと違和感があって不思議だ

*3:補足するとフリークエンシーを抑えたり、行儀の悪い広告を掲載しない、等