友人に先日から強く進められていたので出町座で見てきた。笑える、とのことだったが、なんだか感動してしまった。ネタバレ書くかもしれないので注意。
ゾンビ映画好きとしてはなんだか凡庸だなぁと思いながら見ていた。いろいろ情報が入ってしまっていたので、たしかになんだか演劇っぽいなとか、そんなことを思いつつ見ていた。
感動したのは映画パートがおわった後半、というか本編だった。
監督は映画パートとはうってかわって常に口角を上げて笑顔。曲者たちをなだめすかしなんとかプロジェクトを前に進める。
しかし穏便に済ませればいいわけじゃない。監督には譲れない線がある。やらなければならない仕事がある。作品を最高のものにする仕事がある。
監督にはやらなくていいことはない。役者が足らなきゃ役者もやるし、へべれけで使い物にならない役者を二人羽織でうごかす。合間合間にスタッフ、役者にに気合を入れる。どんなくだらない仕事でも、誰もやれないなら自分でやるしかない。
監督の仕事はシナリオ通りのものを作ることではない。アクシデントもすべて飲みこんで最高のものを作ることだ。監督の仕事に不測の事態はない。不測の事態も含めて最高のものを作るのが仕事だからだ。わがままな役者もうんこもらす役者も本番に間に合わない役者にも文句は言えない。その不測の事態すら最高の作品の材料にしないといけない。
監督というのは英語ではディレクターと称される。僕は映画監督ではないがディレクターという役職で働いている。
ディレクターは常に笑顔でなくてはいけない。不機嫌はチームの生産性を損ねる。
ディレクターにやらなくていい仕事はない。チームのブースの机を拭くし、お菓子を持ってくる。企画もするしコードも書く。頭も下げるし喧嘩もする。
ディレクターは不測の事態に文句は言えない。社会や会社、チームの状況が変わろうがその中で最高の仕事をしないといけない。
ディレクターの仕事は仕様書通りに仕事を終えることじゃない。映画なら客にオモシロイと思ってもらえる。システムなら利用者に喜んでもらえる、そういうものを作るのが仕事だ。