森見登美彦氏のブログで紹介されていた『ランボー怒りの改新』を読んだ。*1
「私の奈良を、返してください!さすがにこれはいかがなものか!しかし、悔しいが傑作と認めざるを得ない」
という森見登美彦氏の帯コメントがあるようにこの本は奈良愛に満ち溢れた本だ。
めくり始めると最初違和感を抱く。ランボーも大化の改新もない。奈良の純朴な中学生の恋物語から始まったからだ。これは短編集だった。
素朴で独特な表現を含んだいい物語だったが、知らねえよって感じの奈良の地名がなにかと出てくる。
入江君によれば、東大寺のそばの古い家に住んでいて、学校への行き帰りに必ず飛火野を歩くそうだ。あんな鹿のフンだらけのところを毎日歩くというのがまずおかしい。
飛火野(とぶひの)。ルビ!毎回振って!!お願い!!!読めない!!!
そして2篇目、表題作の『ランボー怒りの改新』がはじまる。怒涛のように進む。そして壮絶に終わる。いいぞ。それしかいうことはない。ランボーと大化の改新が奈良を舞台に溶け合っている最高のエンタメだった。
3篇目もそれに続く。『ナラビアンナイト 奈良漬け商人と鬼の物語』。タイトルだけで説明は不要だと思う。
そして最後の4篇目。これがただの脈絡のない短編集ではなかったことがわかった。すべてが繋がり、すべてが謎になる。夢と現実が溶け合った作者自身の物語がそこにあった。

- 作者: 前野ひろみち,KAKUTO
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/08/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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