ミネムラ珈琲ブログ

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Googleスプレッドシートを使って子供の名前をつける

こんにちは。ミネムラコーヒー(@minemura_coffee)です。今年は『転生したらスプレッドシートだった件』を技術評論社から出版したり、WEB+DB PRESSでGoogleスプレッドシート入門の記事を書くなどしました。

本記事はGoogleスプレッドシート&Excelアドベントカレンダー2020の1日目です。例年このアドベントカレンダーにはつらい思いをしているのですが、懲りずにやっていきます。まだまだがら空きなので登録お待ちしております。

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では本題です。みなさん、子供作ってますか?子供を作ると名前をつけないといけないですよね。名付けは仕事でも常に悩ましい問題ですが、子供の名前となると責任重大です。そして産まれてくる子が日本と台湾のハーフだったりするとなおのこと難易度が上がります。

今年のぼくはそういう事態に陥ったのですが、Googleスプレッドシートを活用することで、いい感じに名付けの問題を解決することができました。

要件の整理

今回は日台ハーフの子供の名付けで、以下の要件が求められます。

政府の要求は、「人の名前であると認識できる」を満たしていれば問題にはならないでしょう。日本だと悪魔ちゃんみたいな事例もありますが、台湾の案内をみると、「品に欠ける文字を使用しないようにしてください」と日本語版の案内にも書かれています。どのみちそいういう名前をつける気はないので今回はこの点は気にしません。

「〇〇人の名前であると認識できる」のほうが問題の主眼です。この条件は結局の所「それっぽさ」に過ぎないものです。「日本人の名前であると認識できる」については日本人のぼくには判断することができますが、「台湾人の名前であると認識できる」はわかりません。

作戦

2つの「それっぽさ」という曖昧な基準を満たすため、多量の名前候補を生成し、それを夫婦で精査して条件に合うものを絞り込むことにしました。

なお、候補の生成にあたっては、台湾の人名をベースとします。日本人の人名のほうが読み方の自由度が高いので、台湾人っぽい名前を作った上で日本人としてもいけそうなものを探す作戦です。

台湾人の人名は一般的に漢字二文字で構成されています。これを「それっぽさ」の基盤としました。

以下、実際に生成の様子を書きますが、サンプルで実際にぼくが利用したものでないことはご了承ください。

漢字リストの収集

生成に使う漢字リストを収集していきましょう。「それっぽさ」のためには、よくある名前を見ながら考えるのが良いでしょう。

jp.taiwantoday.tw

注意すべき点として、どこで読んだのか思い出せないのですが、東アジア人の人名は流行が激しいということがあります。西欧や中東では、いまだに聖書や歴史の登場人物とさしてかわらない名前が使われる一方で、日本では目まぐるしく人名の流行が変わります。

この流行の変化は日本だけでなく、中国・台湾でも同様です。ここから注意すべき点としては、うっかりすると「めちゃくちゃ老人っぽい」漢字をピックアップしてしまうことです。例えば女性でよくある「麗」あたりは、日本人の感性ではわりとモダンでアリな名前に見えますが、台湾では名前だけでお婆さんだと判断されかねません。チュン・リー(春麗)の生年月日が1968年であることを落ち着いて考えれば理解できます。

また、文字を見れば女性か男性かが概ね分かるものもあれば、両性に使われる漢字や名前もあります。これは日本も同様ですね。今回は女性を想定します。

以上のことを考慮しながら、候補になるそれっぽい漢字をスプレッドシートにメモしていきます。後述しますが、あわせてピンインもメモしていきましょう。Google翻訳使えばわかります。

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ただ「それっぽい」名前をつけることが目的ではなく、込めたい意図なども当然あります。そういう漢字もこのリストに混ぜていきましょう。

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サンプルでは流行に乗っかってみました。2020年の名前は凪が人気らしいですね。

スプレッドシートでの組み合わせ

このリストからスプレッドシートを使って名前を生成していきます。

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難しいことはせず、こういう感じで縦横で文字列の組み合わせ表を作るだけです。メモしておいたピンインも同様に組み合わせてみることで、中国語での読み方も確認することができます。

ちなみに関数を使う必要は一切ありません。一切ないのですが、関数が趣味の人はARRAYFORMULAやTRANSPOSE、VLOOKUP等を駆使して、漢字とピンインのリストさえ作ればメンテ不要な表を作ることもできます。サンプルは以下です。

docs.google.com

表を見ながら選定

この手法で、日台ハーフの子供の名前の広報を大量に生成することができました。あとはこの表を眺めながら「これはよさそう」、「さすがにこれはないな」、「日本語の読みだとどう読めるだろう」などを考えていきましょう。行列の非表示やセルの色付け、文字の強調表示などを活用すると良いでしょう。

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もちろん、生成してみたところいまいちしっくり来ないということもあります。今回の表も、流行に乗っかろうとしすぎたのが良くなかったのか、まともに日本人の名前として読めそうな名前がほとんどありません。あらためて鬼滅の刃を読みながら登場人物の名前をチェックしていく必要がありそうです。

生成した表を見ながら、漢字リストの追加と削除を繰り返してみましょう。また、台湾人の名前として認識できるかの点は結局のところネイティブに見てもらわなければわからないところです。候補が生成できた段階で、パートナーと一緒に見るのが良いでしょう。

ちなみにぼくは無事この方法で子供の名前を決め、先月出生届を提出することができました。最近は育児休業とって、子育てをしています。ちなみにカクヨムで育児エッセイ書き始めたのでよければフォローして下さい。

以上、Googleスプレッドシート&Excelアドベントカレンダー2020の1日目でした。明日もぼくが書きます。まだまだがら空きなので登録お待ちしております。本当にお待ちしています。

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