ミネムラ珈琲ブログ

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金のなる木の御守りになるとキャリア的には詰む

最近、勝間和代さんのブログから『悪いヤツほど出世する』を読んで、あまりにも面白かったので著者ジェフリー・フェファーの前著でスタンフォードMBAの講義をまとめた方の『「権力」を握る人の法則』を読んでいる。

そんな最中に先日、転職をしようとしている友人とオンライン飲みをしていて、表題のことを思っていた。ちなみにここでの金のなる木は悪い意味で言っている。金のなる木を良い意味に捉えるのは経営視点の話であって、所属している人間が言われて嬉しい言葉ではない。

当然ながら友人の境遇を思ったことでもあるし、自分の過去の境遇を思い出してのことでもある。「御守り」というのは自分がそれに近い立場*1になっていた時に思っていたことだ。念のためいうと子どもの世話をする方じゃなくて護符のほう。

どういう状態か。まず事業に関連する特殊なドメイン知識や専門技術を持っている。これ自体は別に悪いことではない。知識や技術が事業にフィットしていれば、事業になくてはならない存在として活躍できる。

しかし活躍できるのは成長市場の話であって、金のなる木ではそのようなこともない。実際のところいなくても困らないのだが、いないと漠然と不安に思われてしまう。あってもなくてもいいし、具体的に役に立つこともない、でもなんとなく持っていた方が安心、御守り状態だ。

この状態はぼんやりと仕事をしていてもひどい評価を受けはしないので、キャリア上の余生を過ごしているような年齢なら悪くはない。そうでないなら詰んでいる。知識と技術は対して発揮できないので評価はされないが、でも知識と技術があるのでそこに縛られてしまう。

異動希望を出せば良い、というのが甘い見通しなのは『「権力」を握る人の法則』を読んでいるとよくわかるし、読んでいなくても直面すると実体験としてわかる。

あなたが何らかの仕事にあまりに長けていると、上司はあなたの能力を失いたくないと考える可能性がある。 (『「権力」を握る人の法則』)

上司の責任範囲は事業であって部下の長期的なキャリアではないので、手放さないのが合理的な選択になる。もちろん程度の問題ではあって、強く希望を出せば折れてくれるケースもあるだろうし、転職先のオファーを持って最後通告をしても全く動かないこともある。

いずれにしても上司に異動希望ぐらいでは乗り越えられないギャップがあるので、上司の上や異動候補先などに働きかけていく必要がある。*2

それでもどうしようもならないことも普通にあり得る状態なので、会社にこだわりがないなら転職したほうが良いのだろうが、うっかりすると会社が変わっただけで御守り状態変わらずなんてこともありそうなので、ポジションや事業を変えることを意識した方が良さそうだ。

ちなみにぼくの場合は現職のことで、wevoxのスコアの低下みたいな定量的な材料があり、メンターとか人事方面をやっていた方とかに相談をして、異動することができて現在は楽しくやっている。その辺りの話は以下のブログでも少し触れていた。

www.minemura-coffee.com

と、そのように部下視点でつらつら書いてきているけど、中間管理職のぼくはどちらかといえば上司側でこの問題に向き合わないといけない。というかこれを書こうと思ったのは、同僚のid:onkさんのブログを読んだからだった。

onk.hatenablog.jp

横串の体制を考えているonkさんと一緒に仕事をしていると、事業側のマネージャーとしても全体最適やメンバーのキャリアをより考えられるようになる。

マネージャーがメンバーのキャリアを考えるのは当然として、メンバーを御守り扱いしてしまわないようにしていきたい。手放し難いと思う人も、キャリアの状況に応じてジョブローテをちゃんとやっていかないといけない。

少なくとも1マネージャーのぼくはそのように考えており、そのような会社の仕事に興味がある方はよければ以下見てください。ちょっと気になるぐらいとか、それとは関係ないけどキャリア詰んでる話をしたいとかだったら、Twitterなどでお気軽に。

hatenacorp.jp

ところで今回書いたことの最も難しい点は、ジェフリー・フェファーの本を読んでいることを宣言していること。『悪いヤツほど出世する』では部下のキャリアを考えるサーヴァントリーダーシップも否定的に書いているし、なんならマネージャーは時に嘘をつくことも必要だとしている。なのでここまでぼくが書いたことが全部嘘かもしれない。

そもそもそういうことを言ってしまう時点でぼくはマネージャー向いていないのでは?いっそ会社員辞めて作家として食っていくか?少なくともそれは嘘。

*1:金のなる木ではないんだけど、撤退もないが発展余地も乏しい

*2:レポートラインを気にしている人は個人の利害と会社の利害を切り離した方がいい