友人がレンタルスペースで1日カフェをやるらしく、アドバイスを求められたので書く。
フリーマーケットやバザーのような屋外イベント、レンタルスペースやシェアカフェのようなところでコーヒーを提供するときに何を準備すればよいか、物理と心の準備を書く。
なお、ぼくはシェアカフェで週1店長を1年ほどやっていたり、会社で同僚にコーヒーを販売する事業をやったり、など自宅外でコーヒーを淹れて提供する経験がそこそこあるので、その経験をもとに書いている。
この記事では、以下のケースを順に書いていく。
なお、すべてのケースにおいて、コーヒー豆は挽きたてを利用し、注文を受けてから抽出するという前提で書く。
友人宅でコーヒーを振る舞う
コーヒーを趣味にしているとたまに遭遇するケース。タイトルからは外れるが、以降のケースの下地にできるのでここから解説する。
備品 | 詳細 |
---|---|
ドリッパー | 人数に応じた1回で淹れられるサイズ |
ミル | 持ち運び可能な手挽きタイプ |
サーバー | 人数に応じた1回で淹れられるサイズ |
ポット | 人数に応じた1回で淹れられるサイズ |
わざわざコーヒーを振る舞いに行くような状況と友人の家ならキッチン設備に困ることはないだろう。なので純粋にコーヒーに関わるものだけ持っていけば良い。
一部が友人宅にあるかもしれないが、全部自前を持っていったほうが安全だろう。ポットがあると思ったらヤカンだったりすると目も当てられない。ちゃんと細口のものを持っていこう。外で使うポットは自宅用とは別に持っていたほうがいい。自宅用は0.7Lだったりすることが多いが、外で使うなら大は小を兼ねるの精神で1Lがいい。自宅用と別がいいのは、箱をちゃんと保存しておけるからでもある。緩衝材で包むのはめんどくさい。
ミルに関しても同様で、手挽きのタイプを持参したほうがいいだろう。挽きの細かさをコントロールできるものがあるとは限らない。筒タイプの手挽きなら荷物としてもまったくかさばらない。つまりポーレックスのミルのこと。モデルによっては持ち手をグリップしやすいゴムがついているようだが、輪ゴムを巻けば解決する。
ドリッパーに関しては、好きな型でいいが、2回いれるのはめんどくさいので3人以上いるなら2-4人用(102)を持っていったほうがいいだろう。個人的には102で2人分は淹れたくない。この点については大は小を兼ねない。103以上はポットの湯量も厳しいし、以下のレンタルスペース等の場合でも、使い慣れていないと手の筋力的にも厳しいと思うので難しいのではないか。
ちなみにぼくはバッハ閥なので、基本はバッハコーヒーのドリッパーを使っている。最近はヴェルディのドリッパーも買い足していて、SOUSOUコラボで洒落ていて良い。
ペーパーとサーバーについては、ドリッパーとあわせたサイズにする以上のことはないが、新たに買うなら三洋産業のものがいい。ペーパーの品質も高いし、サーバーも使いやすさがよく考えられている。サーバーについてはカリタはまったくもってダメだ。口が小さくて底も丸みがないので洗いにくいし、1人用の目盛りがついていないのも不便だ。あとよく割れる。デファクトスタンダードに胡座をかいているのだろう。三洋産業は口が広くて洗いやすいし、持ちてと注ぎ口に角度がついているので手首の負担も軽い。カリタを使う理由が1つもない。
湯の温度管理をちゃんとしたい場合は、温度計や差水、バースプーン等も準備しておく。
レンタルスペース(キッチン・調理器具あり)でコーヒーを提供する
シェアカフェのようなキッチンと貸し出し備品の調理器具がある場所は、備品の面では友人宅とほとんど変わらない。湯も沸かせるし、コップもある。ただ、お店形式でやる以上、長時間何度も連続して淹れないといけない。
備品 | 詳細 |
---|---|
ドリッパー | 101、102を必要に応じて複数 |
ミル | 電動タイプ |
サーバー | 3-5人用 |
ポット | 1L |
ミルは電動にしておいたほうが無難。手挽きでも無理ではないが、体力面でも厳しいし、仮に体力が無限でもスピードの面や手が専有されることに難がある。電動であれば、前の注文の抽出の最中でも注ぎの合間の時間にポチポチやって挽くことができる。
電動で持ち運びタイプを調べると、どうしてもグラインダー(羽根式)が多いが、ハンドドリップなら臼式が無難だと思う。ポータブルとかに釣られずに、家でも使えるようなちゃんとしたものを買ったほうがいいと思う。やはりナイスカットミルが喫茶店の雰囲気が出ていい。なお、ぼくの家の古き良きナイスカットミルが昨年壊れてしまって、困っています。新しいモデルほしい。
ドリッパーについては、どういう感じでお客さんが来るかによるが、一気に4人捌くことを思うと102も用意しておいたほうが提供時間と体力を節約できる。提供時間をあまり気にしないタイプの店なら101だけでもいい、ぼくのシェアカフェはそういう感じだった。
とはいえ複数持っていたほうが安心感はある。豆を選ばせたいときなんかは、同じ101でも複数ないと厳しい。ちなみにこういうことをやっていると、複数のドリッパーを同時並行でお世話するスキルが付くが、誰にも教わらずに初手でできるほど簡単ではない。まずは南千住のバッハに行って、カウンターでスタッフの手元を凝視するところから始めると良いと思う。
結論としては101と102を1つずつ持っていっておいて、3杯以上を一度にとりたいときは102を使うのが良いだろう。
その他は特別大きな備品は不要だが、細かいものの参考のために、上記以外に基本的な抽出の際の手元の用意について書いておく。
鍋敷きを複数 こういう備品はあるか不明だしかさばるものでもないので持っておいたほうが安全。
ドリッパー受け用のコップ 抽出が終わったドリッパーを置くためのコップかグラスは忘れず準備しておく。スペースの備品の適当なものを使えば良いだろう。家ならそのままシンクに突っ込めばいいが、連続して淹れる店でそれをやると衛生的ではない。受け用のコップを固定しておけば、フィルターを外して水で流すだけで済む。
業務用のおしぼり 忘れがち。業務スーパーや通販で普通に買える。長期で数ヶ月シェアカフェとかやる場合は、気がつくとカラッカラになっていたりするので注意が必要。
- スティックシュガーとコーヒーフレッシュ 自分がブラックで飲んでいると見落としがち。普通に砂糖とミルクでも良い。
その他レンタルスペースで指定されている備品 スペースごとに制約があるので把握する。洗剤、スポンジ、ハンドタオル、ゴミ袋など。
キャッシュケースと小銭、領収書 お金のやりとりがあるなら持っておきたい。領収書が欲しい人も稀にいる。友達ならKyashとかでやりとりすると楽。
屋外のフリーマーケット等でコーヒーを提供する
フリマ系のイベントのケース。店と違うのは大きく2点。
1つはテイクアウトであること。耐熱の紙コップと使い捨てのマドラーが必要になる。耐熱の紙コップは意外と面倒で、たいていサイズがでかい。コーヒー1杯120ccであることを加味すると、7オンスぐらいのものをなんとか探して入手したい。
もう一つはキッチンがないこと。これは正直相当大変。まず水がない。でかいボトルを複数買う。あと火もない。最悪カセットコンロとやかんを使う。電気がないときは諦めたほうがいいと思う。前述の通り、電動ミルは流石にほしいが、発電機を持ち込むのは覚悟がいる。どうにかなったとしても、キッチンがないのはやはり厳しい。排水用に足元のバケツがあったほうがいいとか、いろいろと考え事がある
以前ぼくが屋外イベントでやった際もさすがに電気はあった。この際、イベント会場が住んでいたマンションの真横でコンビニも近いのでなんとかなっていたが、公園や神社だと補給が効かなくて大変だと思う。フリマ系は契約とかは気楽なんだけど、コーヒーの提供は楽ではない。
屋外イベントに出る場合は、イベント側で準備されているものを確認しつつ、自宅のキッチンを封じてダイニングテーブルでコーヒーを淹れてみるとか、そういう練習をして望むと良いと思う。
練習は屋外に限らない。普段家だとやらないこと、例えば2回連続でコーヒーを淹れるみたいなことは練習しておいたほうがいい。ポットのお湯を入れ直そうと思ったときに、蓋が熱くて素手でとれないなんてことに気づける。蓋の持ち手が木になっているものだとそういうときに扱いやすい。高いものにはそういう理由があるということがわかる。
コーヒーの淹れ方はお好きにどうぞだけど、自宅以外で淹れるということだけでそれなりにハードルがあるので、そこについてはまず自分のやり方が固まっているのが前提ではあると思う。
この記事では、ひたすらコーヒーを淹れることの周辺しか書いていないが、他のメニューだとか、メニュー表とか、飾り付けとか、そういう考え事は他にも色々ある。
最後に、コーヒーの抽出はあんまり動き回ったりするものではないけど、そもそも普段オフィスワークをしている人間が数時間立ちっぱなしでコーヒーを淹れ続けるのはかなり疲労する。こればかりは準備のしようはない。体力があったところで慣れないことをするのは疲れるからだ。商売じゃないんだから欲張らずにのんびり楽しむのが良い。