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限界OL霧切ギリ子は鬼滅の炭治郎と並ぶ正統派ジャンプ主人公である

今もっともアツいWebマンガである限界OL霧切ギリ子のことについて、特に説明が必要ということはないと思う。

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なのでいきなり考察をするが、作品としてのギリ子はジャンプ+の中では異端の作品、よくてギャグ枠という扱いだと思うが、主人公としてのギリ子は実のところ非常にジャンプらしい主人公だということを主張する。

もちろんジャンプ主人公にもいくつかのバリエーションがあると思うのだが、ドラゴンボールの悟空、ワンピースのルフィ、そして鬼滅の刃の炭治郎あたりと同じ典型性を持っているように思う。つまり異常なまでの裏表のなさだ。

 以上みてきたように、炭治郎のキャラクター造形は、王道キャラのようで異質な成分をはらんでいる。鬼への優しさはその一例だが、そればかりではない。まっすぐ育ったかに見える炭治郎は、その実、別の「狂気」を秘めている。彼は嘘がつけない(つこうとすると半端ない変顔になる)。絵が描けない。猫や鯉のぼりを描くと異様なモンスターができあがり、歌唱能力はジャイアン並みの音痴。つまり炭治郎は、想像力に問題を抱えている。しかもそのことに自覚(病識)がない。

 彼にはリアルで哀切きわまりない家族の思い出はあるが、現実に存在しないこと、ありえない仮想を思い描く能力がきれいさっぱり欠けている。そのことは映画「無限列車編」で描かれた彼の「無意識領域」を一瞥すればよくわかる。炭治郎の無意識領域には何もない。ウユニ湖のような美しくも空虚な水面が広がる世界に、光り輝く「精神の核」が浮かんでいる。彼の純粋さの表現ともとれるが、この景色を見て筆者は確信した。炭治郎には「想像界」が欠けている。だから「優しさ」はあるが「共感力」には乏しい。そうでなければ(自分のせいで)傷心の冨岡義勇を、蕎麦の早食い競争に誘ったりはしない。

「鬼滅の刃」の謎 あるいは超越論的炭治郎|斎藤環(精神科医)

斉藤環氏のこの考察は、竈門 炭治郎のことを書いているようで、ぼくにはほとんどそのままギリ子を描写しているように思えてならない。ギリ子の行動は底知れない狂気に満ちていて、その狂気を受けとらさえれる側のことを考慮したりはしない。変な子、変わった子だと思われたいとかではなく、純粋に狂っている。

しかしギリ子をとりまく他の人々だってみんなおかしいのであって、主人公がどうだという指摘はあたらないのではないかという反論がありうる。が、ギリ子以外のキャラクターの異常行動には、なんらかの理由、元になっているトラウマ、闇のようなものがある。

[第40話]限界OL霧切ギリ子 - ミートスパ土本 | 少年ジャンプ+

ユリのメシマズ癖とこのエピソードに論理的繋がりがあるとかそういうことは問題ではない。異常行動に対して、なんらか仕方なさというか、その源泉と感じさせるようなものがある。他にも毒マグロの二人も過去が語られたりしており、アヤやその他の登場人物も、異常行動を裏付ける闇のようなものがあるものと考えられる。これは鬼滅の刃における炭治郎以外がトラウマや葛藤を抱えた上で異常性を表出させていることと類似している。

が、ギリ子だけはそういう裏付けの闇のようなものが出てくる気配はない。なんなら子どもの頃の描写もちょくちょくあるが、発想や行動が一貫して変化していないことだけが描写されている。

[第41話]限界OL霧切ギリ子 - ミートスパ土本 | 少年ジャンプ+

闇を抱えた人々(ふつうのことだ)のなかで、ギリ子だけが裏表なく真っ白、あるいは真っ黒な内面をもっており、異常キャラクターの間でも他を圧倒する主人公性を発揮している。この主人公性は極めてジャンプ的でジャンプ+、ひいてはジャンプ本誌に存在してもなんら違和感のない主人公が限界OL霧切ギリ子なのだ、そういうことを先日酒を飲みに行ってカウンターで主張していたので、ここに記録する。

単行本発売、楽しみですね。

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