クリトリック・リスという尊いおっさん

昨日はKBSホールでやっていた都!!モンスタールネッサンスというフェスに行っていた。先日ポスター貼ってたやつです。

いろいろなバンドがでていてなにかと楽しめ、いろいろと感想を書こうと思ったのですが、最後の最後にそういう気がなくなった。メインステージのトリを務めたクリトリック・リスがあまりにもすごかったからだ。彼のことに比べれば、ほかには書くことなんてなかった。

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演奏中の写真撮影は禁止だったが、「もう演奏は終わった。最高のインスタ映えを撮りまくってくれ!」と本人が言ったのでとったもの。

ご存じない方に説明すると、スキンヘッドでだらしない身体をしたおっさんが1人で歌い、股間につけたエフェクターでギュンギュン言わす。それがクリトリック・リスです。

クリトリック・リスを前に見たのは大学生の頃。緑地公園のライブイベントにゆらゆら帝国が来ることがあってそれを見に行ったとき。うっすらとした記憶では、その日の会場は結構広々していてステージ前というよりも周りの席に座ってきままに見ている感じだった。

そのときのクリトリック・リスの印象は、スキンヘッドでパンイチのおっさんがなにか歌っていた。観客の多くは遠巻きに薄笑いでそれを見ていた。そういう感じだったと記憶しているが、実際の所もう8年前のことなのでかなり怪しい。

そうして8年ぶりにみたクリトリック・リスは変わらず1人でパンイチで歌っていた。髪の毛も生えていない。

しかしこの日のクリトリック・リスは輝いていた。実際、汗塗れになっていて、とにどき頭を叩く仕草をすると、汗の飛沫がスポットライトに照らされて美しく輝いていた。

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彼は歌っていた。「オレは味噌汁。いつもサブステージ。1人ではやれない。」どちらかというと一品あると嬉しい珍味って感じじゃないだろうかと思ったのだけど、ライブイベントにそんなに行くわけではないので感覚が違うのだろう。

KBSホールのこれまでのイベントでもサブステージや外ばかりだったと嘆いていた。しかし今日は違う。1日目のメインステージ、トリ。これほどの笑顔を見たことはなかった。会場全体が全力でこのおっさんを讃えないといけない、いや讃えたい、そういう空気に包まれていた。

彼は歌っていた。「後輩バンドのサブで呼ばれる」「新幹線には乗れない」。生きていると自分と人を比べてしまう。高校や大学の同級生や同僚のFacebook、結婚・出産、家族の笑顔、絵に描いたような幸せ。僕にもこういう人生があったのではないだろうか。大手に就職して転職もせずコツコツ。幸せな結婚と家庭。

僕も先日書いたけど、こういう状態になっている。普通の幸せみたいなものを考えたときにそんなことやっていていいのか。昨日のイベントに元妻が来ていてと会って話したけど「そんなことをやっていて、あなたと付き合おうとする女性はそうそういないだろう」と。おっしゃるとおりだ。

しかしそんなことはクリトリック・リスを思えば屁でもない。

会社を辞めて音楽の道へ。メンバーもおらず孤独。キワモノで絶対にメインストリームにはなれない。48歳。他人と自分を比べ、あのときああすれば、ああしていなければ、こういう人生があったかも。そんな瞬間のオンパレードだろう。それが音楽界隈でも続く、ルックスのよいバンドがちやほやされる様子。若手の実力派が大きく人を集め、サブに呼ばれるとき。「こういう人生があったかも」、ここから逃げられる瞬間はない。

しかし8年ぶりにみたクリトリック・リスは変わらず1人で立っていた。その姿はものすごくかっこよかった。

迷わず続けていればいつかはいいことがあるのだ。それが今日なのだ。KBSホール、メインステージ。ステンドグラスをバックに会場全体が盛り上がる。

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最後は袖からほかの出演者を「お前ら来いよ!」と呼び寄せ、肩を組んで歌っていた。汗塗れの身体で抱き合っていた。会場全体がクリトリック・リスで一つになっていた。

クリトリック・リスがいる限り、僕らは自分の道で頑張れる。だから僕らはクリトリック・リスを全力で讃えないといけない。クリトリック・リスのいない世界には絶望しかない。

HAGECORE

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