月曜日、僕はよく飲みに行く。古い友人のYの休みが火曜に休みだからということもある。
店について、Yを呼び出すと曰く「給料日までカネがないのだ」と。仕方がないので言った。「一杯なら奢る」
Yはここ半年で一番の笑顔で現れた。カウンターの面々に朗らかに宣言する「さあ!奢ってください!楽しませます!」
ワンドリンクはバーの規則だと思っていたが、これは金を払えと言うことではなくて、飲めということらしい。Yはこの日はついぞ伝票をつけられることがなかった。そういうやつを僕はこの店ではじめて見た。
Yは僕だけでなく周りから酒を奢られながら、店からも賄いのナポリタンを施されていた。
Yからは代わりとして本をもらった。
こんないいものをもらっては、引っ込みがつかない。うっかり数人でマグナムボトルをあけた。
そうこうしていると常連の1人が久々に現れた。劇団の巡業から帰ってきたというのだが、家は引き払ってしまっているらしい。「帰ってくる」という言葉の定義に僕は混乱した。夜中の12時を過ぎている。
僕らはもう一本マグナムボトルを空けた。月曜日に酒をのむのは本当に楽しい。

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