人と組織のネットワークが感染症、金融危機、教育、仕事、そして社会の分断と様々なことにどう影響するかが書かれた本。体系的な感じではなくて、様々なトピックを扱いながら理論を散りばめてくれる本。
- 作者:マシュー O ジャクソン
- 発売日: 2020/11/19
- メディア: Kindle版
人気者数人が持っているだけで「みんな持ってるから欲しい」を生み出すフレンドシップ・パラドックスとか、エコーチェンバーで良く知られているエコーのことなど。
簡略化した図でネットワークの影響が解説されていてわかりやすい。特に読んでいてハッとしたのが居住地域が人種等の同類性で分断されていくトーマス・シェリングの理論。
(両図ともに『ヒューマン・ネットワーク 人づきあいの経済学』「ハッピーか、アンハッピーか」の項目)
黒と網掛けの二つの性質の世帯は、別に差別的だったり排他的だったりもせず、ただ自分と同質な世帯が少しいることを願っただけなのだが、実際には時を経ると世帯の性質で分断が起こっていく。本書の言い方だと「自宅の近所にはこういう人が住んでくれたらいいなというちょっとした偏見が、積もり積もって巨大な結果につながる」
ぼく自身もわりと多様性を好んでいる人間だけど、たしかにマンション内に日本語をしゃべれる人が一人もいないとか、老人しかいないとか、学生しかいないとか、そういうことになったらちょっとした居心地の悪さを感じて引っ越しを考えたりすると思う。
理論以外も雑学的にいろいろ学べることが多いのでお勧め。
- 作者:マシュー O ジャクソン
- 発売日: 2020/11/19
- メディア: Kindle版
そういえばトーマス・シェリングの本をずっと積読にしていたのを思い出した。読もう。
- 作者:シェリング,トーマス
- 発売日: 2016/11/29
- メディア: 単行本