定期的に日経新聞はゾンビを比喩にもってくる。今日だってそうだ*1。
ゾンビ企業、ゾンビ金融、ゾンビ社員、いい加減にしてくれ。「お?ゾンビ映画?」と一瞬ココロときめかせて失望させるのはやめてくれ。
ムカつくので調べた。日経新聞でのゾンビの検索
集計するとこの様になる。
2月から増えているようにみえてしまうが、実際には手前の12月はもっと多いがカウントしていないだけ。カッとなって昼休みに拾ったので許して。
しかし2月の記事には良い示唆がある。
産業間の資源再配分の効果については、例えば深尾京司・アジア経済研究所長(一橋大教授)は、2000年代の日本で産業間の資源再配分効果が大きなマイナスだったという結果を報告している。星岳雄・米スタンフォード大教授などの「ゾンビ企業」に関する研究は、90年代以降の日本で、企業の新陳代謝の遅れが企業間の資源配分の変化による生産性上昇を停滞させていることを示唆している。
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO40861010U9A200C1KE8000/
経済産業研究所の星 岳雄プロフィールを見ると以下の著作があるのがわかる。
「ゾンビの経済学」岩本靖・太田誠・二神孝一・松井彰彦編『現代経済学の潮流2006』2006年。
どうもこのあたりに端を発して「ゾンビ企業」という言葉が普及したのではないか。

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そうやっておちついてリストを眺めると、日経新聞のゾンビの使い方は理解できる。
数年にわたって債務の利払いすらままならず経営が破綻状態にあるのに、銀行や政府などの支援によって存続し続けているような企業を指す。
正確にこのことばの説明にしたがっているわけではないものの銀行や政府などの支援によって存続し続けているような 、という点については一貫しているように見える。
この半年で出現率の高い話題としてはジャパンディスプレイ(JDI)と中国企業、どちらもみたところ正しい用法のようだ。
ちなみに文脈が微妙なのもあるが、これはマネー研究所。■無責任が横行、日本全体がゾンビ化というすごい見出しがでてくる。
謝罪しないといけない事項として、ゾンビ企業とは無関係なゾンビ社員という言葉は日経新聞を検索してもでてこなかった。
ゾンビ企業という用語を正確に認識したので今後は冷静に日経新聞にあらわれるゾンビに反応できる気がする。

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ところで調べている途中にこの本が出てきて、面白そうだったので今度探して読んでみたい。
かつて一世を風靡し、政策にまで影響を及ぼした経済理論は、本当に正しかったのか?本書はこう答える―「経済学では、既に破綻した思想や理論が、破綻したあとも、ゾンビのごとく復活し、幅をきかせているのだ」と
*1:この記事は昨日書きかけた