かなり面白かった。「現代社会に触れることなく森で暮らす家族」というフレーズを見るとどことなく野蛮な感じか、もしくはアーミッシュのようなものを想像してしまうんだけど、全く違う。
学校に通っていないにも関わらず、子どもたちの教育レベルは過剰に高くて、焚火を囲みながら超ひも理論について本で読んだりドストエフスキーを読んだりしている。詰込みって感じでもなく、家族で即興音楽を奏でたりしていて感受性も豊かだし、警察をかわすためにキリスト教原理主義のやばい家族を装う機転とユーモアもある。
もちろん非常にやばい家族像でクリスマスの代わりにノーム・チョムスキーの誕生日を祝って子供にアーミーナイフ等のプレゼントをしたりしている。インテリと反権力とプレッパーを煮詰めると多分こういう感じになる。
しかし家族独自のルールや思想はどの家にも少なからずあり、一切の小遣いを渡す代わりに100万だかの大金を小学生に渡すような拝金主義に比べればどことなくこちらのほうが好ましく思える。
有名大学にことごとく合格している長男のボゥドヴァン(ジョージ・マッケイ)の最後の選択は、とても見ていて気持ちがよかった。