1982年初版発行、出版社のリブロポート社も1998年にはなくなっているという本。
Amazonの注文履歴を見ると2020年の5月に購入していたらしく、引っ越して本棚を片付けて目に留まったので読んだ。なんで買ったかについては明白で、別役実が『けものづくし』(もしかしたら『日々の暮らし方』か『満ち足りた人生』かもしれない)で早稲田大学教授の西江雅之が野良猫・野良犬を食料として狩猟して近隣から絶滅させたという話を書いていたところからの興味だった。当然別役実のエッセイなのでホラなんだけど、野良猫・野良犬を食っていたという話は『貴人のティータイム』で本人も語っている。
本人が語っているからと言って事実とも言いたくないのは、とにかくこの本ではぶっとんだ話ばかりが出てくるし、著者二人の性格・生活を鑑みるに多少リップサービスしている部分もあれば、幻覚みたいな部分もあるのではないかと思っていることによる。風呂にほとんど入らないとか、学生時代にソマリアの砂漠を歩いて放浪して国境で銃を向けられるとか、本人が語っていても鵜呑みにする気にはなれない。
不勉強な人間なので、平野威馬雄のことは全然知らなかった。ぼくが生まれる前に86歳で死んでいる人物のことなので許して欲しい。オカルトからソマリア放浪まで多岐に話題が及ぶ『貴人のティータイム』だけど、平野威馬雄の交遊録がひとつの柱になっている。偉大なところでは南方熊楠、イカれたところでは芦原将軍とわけのわからない事になっている。
そういう高尚(?)なことをさておいて、下賤な現代人としてびっくりするのは「料理研究家をやっている娘のレミが」みたいなのがナチュラルに何箇所か書いてあり、「こいつ(失礼)平野レミの父親なの!?」と驚いた。
古い本買って読んでたら、「娘のレミが」っていうフレーズがしょっちゅう出てきて、調べたらあの平野レミの父親だった。ぶっ飛んだ料理にも納得がいくぶっ飛んだ父親の話ばかり出てくる。https://t.co/SDcOSyXTNA pic.twitter.com/kpAyAbiPjv
— ミネムラ珈琲@ITラノベ『転生したらスプレッドシートだった件(技術評論社)』著者 (@minemura_coffee) 2022年3月11日
平野レミの料理動画、豪快さとスリルに中毒性があってたまに見てしまうんだけど、平野威馬雄という父親を知ると妙に納得がいくというか、逆にあの父親の娘で丁寧で緻密な料理しているほうが不思議だなと思えてしまう。