ミネムラ珈琲ブログ

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『成瀬は天下を取りにいく』で滋賀大津膳所のことを知る

大阪で生まれ育って、大学で京都に住むようになって知ったのは、京都の人間は滋賀のことを見下しているということだった。

滋賀の人間もその空気に飲まれていて「琵琶湖の水止めるぞ」というチープなボケによってその空気をさらに強化していた。

関西以外からやってきた大学生たちも、その認識に引っ張られ、数ヶ月もすれば滋賀のことを見下すようになる。

大阪出身のぼくも、神戸や京都については多少の認識はあっても、二県離れた滋賀については地理の授業で聞く範囲以上の認識はなく、京都の大学生の中ではそこそこの比率を締めている滋賀県出身者たちと話すようになったのもはじめてのことだった。

その滋賀県出身の人々の中で目立っていたのは膳所高校出身者だった。まずそれで「ぜぜ」って読むんだ、というところから始まる。珍妙な名前だなと思うのだが、この高校出身の人間はやたら多い、というか滋賀県民はほとんど膳所から来ているのではないかというぐらいだった。京都で大学生をやっていると、滋賀に膳所高校ってやつがある、ということはすぐに理解する。

『成瀬は天下を取りにいく』はその膳所および付近大津市の中学・高校に通う成瀬を主人公にした物語。閉店するショッピングセンター西武大津店で、地元テレビ局が閉店までの30日毎日中継する企画に映り込み続けるとか、異常なことを生真面目に実行する異常性で物語が成り立っているので、とくに女子中高生らしい青春っぽさはない。ちょっとはあるかもしれない。

なんか面白いらしいと聞いて買っておいたが、たしかにめちゃくちゃ面白くて、子どもをいなしながらおおむね一気に読んだ。

膳所に縁がある人が読む方が、より面白いのだと思う。