土曜日の朝7時半頃、うきうきしながら家をでた。夜、ふらりと飲みに行くときのように顔がほころぶ。久々の男三人の集まりで、2泊3日で北海道に行く。酒を飲みに行く。
飛行機から外を眺めていると、「あ、これは異国に来たな」と思う。ちなみにこれは北海道ではなくて青森ぐらいだと思う。新千歳空港周辺も枯れきった林があって、本州とは植生が違うのかなということを思ったりする。
この旅行ではノープランを是としているのだけれども、初日は珍しく予定を入れておいた。サッポロビールの工場見学だ。
ぼくはビールといったら基本的にサッポロ黒ラベルを飲むことにしている。なのでほぼ独断で予約しておいた。
工場のほか、歴代ポスターやパッケージなどもあって感慨がある。
なんといっても試飲。鮮度なんかも加味すると、ここよりサッポロビールをうまくいただけるところはないのだろう。ここをもって飲み会開始。ちなみにこの試飲、20分間で黒ラベルと北海道限定のサッポロクラシックの2杯をいただける。工場見学含めて完全に無料で。
その後、宿にチェックインしてサッポロの都心に移動した。夜の店があくまで少し散策して腹をすかす。これは雪まつりの残骸とおぼしきやつ。
すすきのは京都に住んでる身からすると都会で、いい具合に猥雑な北の繁華街という感じだった。
すみませんすみません pic.twitter.com/AXUgo1xpYi
— ミネムラ珈琲@ITラノベ『転生したらスプレッドシートだった件(技術評論社)』著者 (@minemura_coffee) 2020年2月15日
ジンギスカンで夜が始まった。北海道に詳しい人から情報を得ていて、キャバクラとかが入っていたりするビルの地下の奥にある八仙。ニオイがつくので服は店の外に置いて、かばんはビニールに入れる。表面は焦がしてやって中はお好みぐらいでと手ほどきをうける。焦げた苦味と肉の味が溶け合ってワイルドな味になっていた。あとつきだしの山わさびクラゲがうますぎておかわりした。
その後も飲み歩いたが気がつくと吹雪の様相を呈し始めていて、フード無しでは出歩けないようになっていた。
宿は都心から離れた市街地で、人通りのない歩道に降り積もった雪は誰にも踏まれておらず、酔っ払って楽しくなってはしゃぎ、雪に倒れ込んだりしていたら滑って転んで尻をうってまだ痛い。
2日目。昼前に動き出したが予定はない。バス停を探して右往左往しているうちに予定は歪曲し、結局タクシーを拾って近くの回転寿司に行った。
昼からたらふく寿司を食ってビールを飲めて幸せ。回転寿司はネーミングがよくて、「えびかに合戦」みたいな謎メニューがある。
寿司を食ったあとはGoogleMapみながら「結構近いやん」っていいながら小樽に行ってみた。
「小樽雪あかりの路」というちょっとした雪まつりみたいなのがやっていた。夕方になるとろうそくの灯りがともる。ちなみにこれは小樽海上保安部さんの作品。
謎のカラオケ。あとで飲み屋で聞いたら、中は普通のカラオケで、チェーンらしい。
寒い
観光客は運河に集っていたけど、勢い埠頭までいってみた。風が吹きすさび、雪が地走りしていてマジで寒かった。マジで寒かった。
夕方、運河と周辺のいろいろに火が灯っていた。
これは北海道信用金庫さんの作品。
ノープランで立ち寄った割には観光らしいことになった。
これはおそらく小樽雪あかりの路とは無関係。
フラフラ歩いていると明らかにいい感じの通りが見えた。
屋台村的なやつ。10件ぐらいの小さな店が立ち並ぶ。
入った店は酒も飯もとてもよかった。小樽ビールはしっかりとうまいブランドだったし、地酒も飲み飽きない感じ、小樽の酒は全般に観光・外向けというより、住んでいる人がずっと楽しめるような味がしていた。この屋台村に来るのも観光客はちらほらぐらいで、多くは地元の人らしい。
1杯飲んだら別の店に行ってみようとか行っていたが、周りの人と喋っていると居心地が良すぎて、結局かなり長い時間ずっとこの店にいた。ちなみにこの屋台村のいいところは、店同士も仲いいらしいので隣の店の名物メニューとかをひと声かけると出前してくれる。あとこれはこの店に限ったことではないけど、トイレに行こうと思って外に出たりすると、寒さで酔いが覚める。この効果で普段以上に酒が飲める。
ダラダラ飲んでいると常連らしき女性の一人客が気がつくとめちゃくちゃに酔っ払い始めていた。ぼくらも酔っ払っていたが、まだ時間も早かったしテンションが揃っていなかったのでちょっとひいていた。札幌まで戻るための終電もあるので、正気を保っているうちにお暇しようと思ったら、店主の女性から酔っぱらいの女性をタクシーに乗せるのを頼まれる。このことからいかにぼくらが紳士的な飲んだくれかということがわかるはずだ。
酔っ払いをなだめすかすのは慣れているので、「はいはいわかったもう一軒いきましょう」って言いながらタクシーを捕まえ、酔っぱらいを押し込んで運転手によく知らないが自宅まで送ってくれということを告げた。
そうこうしているうちに終電はなくなっており、仕方がないのでタクシーを拾って札幌に戻った。途中、壮絶な雪が降ってきてふとんど視界がなくてよくこれで運転してるなと思うなどあった。
札幌には日付が変わる前ぐらいに戻り、キャバクラに行った。エクスキューズのために言うと、北海道におけるキャバクラではなくて、本州におけるキャバクラのほうです。既婚の友人が店一番の美人にモテており、ぼくともう一名は無意味に悔しい気持ちを抱えた。極めて自然な流れで指名料をとられていたが、致し方ないことだと思う。
そうやって満足に飲んで宿に戻ったのは2時頃。コンビニで買ったやきそば弁当とかをシメにしてビールをさらに飲んだ。
この日の雪は前日よりもさらに激しく、宿の前はこのような具合だった。
なんでこんな時期に北海道に行くことにしてしまったんだろうと思っていたが、雪が降り積もっているのは異国情緒があり、遠出している実感が強く湧いたのでよかった。宿を都心から少し離れたところにとったのもそういう点でよかった。
最終日、空港に向かったけど積雪は一番ひどく、人が通ったところに道ができている。逆に人が通らないところは誰かが切り開いたりケアしないと歩けない。「道ができている」とか素朴な感想を抱いて、「あ、これデスストだ」とか思っていた。
前回の旅行。